氷と魔女《specialstory 完結》
私は春美を見つめた。

「どうしたの?」


「……『ーーーーー』」

私の発した言葉に、春美は驚いた顔をした。

「なっ…!
それ、私も考えたよ?考えたけど…
私は別にいいけど、千草は…!」



春美は私の肩を持って、説得する…けど

「だってさ、春美。
私と春美がここの生徒ってだけでみんなに影響を与えちゃうんだよ。

なら…

関わりを持たない方法なんて、ただ1つだよね?」


「千草………いいの…?」


私は笑顔で頷いて見せる。


「私は、もう決めたんだ。

逃げないよ、絶対。平和ボケなんかしていらてない…

この世界に、魔界に、革命を起こすんだ」



私は笑顔で言ったつもり…だけど

春美はボロボロ泣き出した。


「え、ちょ……春美⁉︎」

「だってぇ…千草、なんだかんだ私のこと信じてるんだもん…

私の父親、性格ひん曲がってたせいで、私にも影響を与えたの。
その影響の1つが、誰も私を信じてくれないってこと。
マシな友達もいなくって…

千草は、こんな私を信じてくれてぇ…裏切ってるかもしれないのにぃ……」


春美……

さっきまでは強がってたようにも見えた。
けど…

ずっと1人ぼっちだったんだ。
私より、寂しかったんだ、今まで。


「大丈夫…春美。裏切ってる人は普通、自分が裏切ってるかもなんて言わない。
私は、あなたを信じるから…」


春美は1度思いっきり鼻をすすると

「うん!」

と可愛らしい笑顔で頷いた。

晴れ晴れとした優しい笑顔で。


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