氷と魔女《specialstory 完結》
「………いくよ」


「うん」


春美は、私に関することならほぼ知ってるらしい。

お父さんから全て話されたらしいんだ。


だから、いろいろ説明とかしないで気楽だ。



私はゆっくり開く。


「……!なにこれ…!」

「千草……これ、最初っから…?」

私は首を横に振った。



本は、確かに白紙だったはずなのに…

真っ黒だった。

それはそれは黒くて、黒なんて言い表せないぐらいに。

まるで、吸い込まれそうな、闇。

奥へ奥へと続いてそうな、闇。


どのページもそうだった。


「千草…
これについては、また近いうちに考えよう。冷静に。
もう朝になるし、私、帰るね……」


「うん、バイバイ」



春美も気が動転してるのかな。


ほうきで帰って行く春美の後ろ姿を見て思った。




「なんか、疲れたなー…」


私はふと真実の書を見てみた。

「やっぱ全部同じなのかな…」


私は最初っから最後までぱらぱらーっと見てみる。


そして最終ページ。


「え………?」


そこには、日本語のカタカナで、黒い紙に白い字でこう書かれていた。


『ハグルマハトマラナイ』



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