氷と魔女《specialstory 完結》
9割…


やっぱ、大半が敵になるんだ。




吟は私を静かに話すと、細くて、長くて綺麗な指で私の目の下をなぞる。



「泣くなよ。お前らしくないじゃん。
邪魔、したな。
じゃあ、また明日」




吟は静かに立ち上がると、ドアへと向かって行く。




ドン




「いって…ん?なんだ、この本……」




吟が、分厚い本を手に取る。



「それは…」




女神の書。




机にぶつかって、落ちたんだ。






「…!なんだよ、これ…
全部、白紙じゃねえか…」


吟がしかめっ面で女神の書を見る。


え…?

白紙…?



そんなわけない。私からも見える、小さな文字が。



「この本…表紙の文字は見えるけど、中身は全くない…
何の本だ?千草……

っておい!」




私はいつの間にか吟から本を奪っていた。





「おい…」とかなんとか、後ろから声が聞こえた気がするけど、気にしない。



私はたまたま開かれていたページを見る。



そこには、相変わらずのフランス語がびっしり載っていた。



そして、私はその1文に…



目を奪われた。




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