氷と魔女《specialstory 完結》
「でも、大樹の言う通りだよ。
千草、どうしてるんだろう…

武藤さんも一緒にいなくなっちゃったし。なにかの事件に巻き込まれてなきゃいいけど…」


夢奈が不安そうに言った。

本当だ。
変な事件に巻き込まれてる、何てことは避けて欲しい。


「でもさー!前、千草が教えてくれたじゃん。
『いちごいちえ』って言葉」


「あ…確かに、前聞いたな。
なんだったか。
そうだ。人との出会いは一生に一度だと思って大切に接しろ…とかだっけ?」



そうだ。
それを聞いたのは、前みんなで一緒に登校した時だ。


「『いちごいちえ』って言葉…
裏を返せば、明日は会えなくなるから今を大切にする。ってことでも意味とれるよな。一生に一度だと思うんじゃんくて、本当に一生に一度だった時」


俺の言葉に3人とも頷いた。


「もう…千草とは、会えないのかなあ…
『あの時』を大切にしとけばよかった…」


夢奈は今にも泣きそうだった。
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