氷と魔女《specialstory 完結》
そこは、真っ白。

何にもない。ただただ真っ白。

けど、すぐ気づいた。

壁があることに。

って言っても、全部じゃない。


…右に曲がれるように、だ。

また私が自然と先頭になり、右、左、右、そして右に曲がった。


あった…


ついついため息が出そうになって、両手で口を覆った。

危ない危ない。ため息も気をつけなきゃ。

足音も気をつけるの、忘れてたかも。

やばいなぁ…

でも今は、素直に喜ぼう。

目の前に、階段があることを!

1回春美の方を向いた。

春美も結構安堵の表情を浮かべていた。


ずっと見つからなかったしね。

でもこれが見つかったのは、春美のおかげだよね。

私は前を向いて足音に気をつけながら階段をのぼりはじめた。



ゆっくり、ゆっくり。

1段、1段。

そんなことを思っていたら、もう2階…らしき場所。

でもここ、階段が一直線になっている形のやつ。

あの人間界のテロ防止!みたいな階段ではなく。

だから続いて1段、1段丁寧にのぼった。



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