氷と魔女《specialstory 完結》
でも、スピードは自然に落ちていく。

決して疲れたわけじゃないんだ。

ゆっくりだしね。


ただ、4階に近づいている。

それだけで、手汗が滲んで来た。

顔からも脂汗が出て来て、ほおをつたる。

片手でぬぐって、またゆっくりとのぼっていく。


そして、気がつけば。

4階。最上階。

もう階段はない。

手汗がいつの間にかピークになっていて、握った手の中はサウナみたいにあつかった。


地図をもう1度確認する。

こことは真逆のところに会長室はあった。

春美はいつに間にか私の隣に並んでいた。


2人顔を合わせて、決心したように頷いた。

そして、また歩き出した。


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