氷と魔女《specialstory 完結》
黒のコートを着直して、2人へと歩み寄る。



「待てっつってんだろ!」




「うるさい!ついてこないで!」




お願いだからついてこないで。

私だって苦しいの。


愛する人の父親を、叔父を殺めたくないの。

でも、この復讐は
そんな軽いものじゃない…!


たとえ愛する人から恨まれても
私は復讐を成し遂げる。



みんなの顔が歪んでいく。
悲しみと恐怖、焦りに憎しみ。


全てが私に向かっていた。



そんな目で見ないで。
やだ。やだ…
お願い。そんな目で、見ないでよ…


辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い


苦しいんだ、心が………





「俺、千草がどうしてそんなになってるかわからねえけど…
政府にちょっとなんかされたからって、何千人もの人を殺すか⁉︎

お前はそんなやつだったのか?
たかが復讐程度で自分の手を真っ赤に染めるほど、冷酷なやつだったのかよ‼︎‼︎」





ゾワッ…







あぁ。春美。助けて。



私の中の、何かが暴走し始める。


誰にも止められない。


真っ黒な心がさらに真っ黒になってゆく。

もう救い用のないほど、黒くなってゆく。

きっとこの黒を元に戻すことはできなない。



おさまれ、自分!

おさまれ!お願い!

おさまれ、自分……!




もう1人の私が…いや。
『ホントのワタシ』が語りかけた。



『復讐を成し遂げろ。魔界を滅ぼせ。
全てはお母さんとお父さんの仇…』




プチンッ



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