氷と魔女《specialstory 完結》
笑っちゃうよ、こんな世界。



もっともっと壊れればいい。
そして作られた世界じゃなくて、魔界も壊れてしまえばいいんだ…!



「あっれぇ〜?まだ君たち全員生きてたんだ♪
でも、もう息絶え絶え、って感じだね?
大丈夫だよ〜?私が…私が君たちを快楽へと導いてあげる♪

私ってやっぱ優し〜な〜♪」




杖をもう1度強く握り締める。



さぁて…何の魔法を使おっかなぁ〜♪
いや…
全て壊れちゃう魔界級魔法を、生み出すのもいいかもなぁ♪



「……めろ」

「………吟?」


「やめろ……!」

吟は膝立ちで私へ抱きついてきた。


「ちょ…離して!」

「離さ、ねえよ…!
これ以上、狂うなよ…!
俺のせいだ…ごめん」


吟が申し訳なさそうに謝ってくる。

けど…謝られて済むものじゃない…!


「あなたに私の気持ちは分からない!
あなたは…あなたは、幸せに暮らしてきたのでしょう?

私だって幸せだった!あの事件が起こるまでは…!
何も分からないあなたに、私の気持ちなんか分かるわけ…」

「分からねえよ!」

吟が急に叫び、私を抱きしめる力が強くなった。


ヨロヨロと抱きついたまま立ち上がった。


「お前が…お前が言わねえと、わかんねえんだよ…
言ってくれよ。俺らに、言ってくれよ…!」



吟………


私は…私は………‼︎




抱きしめられた吟の背中越しに
私に向かって杖を向ける、光が見えた。


杖から光が私へと…いや!
吟の背中へと向かっていく!


「危ない‼︎」



ドン‼︎




私は吟思いっきり押した。





「かっ…はっ………‼︎」





肩に光は通り、貫通させる。



痛い…痛い…痛い…!

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‼︎‼︎‼︎‼︎





「ヒーリング」



「え…?」


私の肩の傷がどんどん治ってゆく。

「夢、奈……?
なんで……?」



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