氷と魔女《specialstory 完結》
「とゆーわけなんだ。
だから千草は政府の中で指名手配っぽいことをされちゃったんだ」



私は、頭がオーバーヒート状態。

考えれば考えるほどむしゃくしゃするし。


「でもさ、千草。自分が女神の血を引き継ぐ、しかも1000年に1度の特別な存在ってこともわかってたんでしょ?」

「まあね」


そう。私は分かっていた。


だって書いてあったんだもん。



吟が私の部屋に来たあの夜。
女神の羽の書に書かれていたこと。



『この本が読めるものが、女神の血を特別に引き継ぎ、女神の羽を見つけられる者である』

って。



あれはなんだったのかな。

もしかして女神様からの贈り物とか?

なわけないか。



「あとさ、千草。
非常にとてつもなくもう嫌になるぐらい言いづらいんだけど、さ」

「…………はぁ」


「カエデ、ツツジ、シランの3人。それと光と陰は死んだよ」



はは………ま、そーじゃないかとは思ってたけど。


「全員、死を望んだんだ。
カエデとツツジはお互いに魔法の撃ち合いで死亡。
ツツジは戦死。

……でも、3人とも天界では今までのことがなかったかのように楽しんでる。

光と陰も反省して、天界でひっそりと暮らしてるし。安心して」




「わかった。もし会ったらよろしく言っといてよ」

「それと…女神の書は消えちゃった。

吟に渡るように努力したんだよ、僕ら。
けど……ごめん」


「いや!いいの!
逆に渡ってたら、私が記憶を消した意味もなくなっちゃうじゃん?」



「そーだね」

ヘルメスはほっとした顔つきになった。




私は笑った。


ほら、笑える。


氷の私なんて存在しない。



太陽に氷は溶かされたんだ。



全て、やり直そう。

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