氷と魔女《specialstory 完結》
ちょ、今ミウ……なんて?

顔が熱くなって行くのが分かった。

「良弥が好きなの…!

いつも優しく笑ってくれる良弥も、

イタズラずきな良弥も、

悲しんでる時慰めてくれる良弥も…



彼女さんのことを、幸せそうに話す良弥も」



な…はずい、はずい!

こんな一生懸命告られても…俺、どーすりゃいいんだよ?


……ってちょっと待て。
今ミウ…なんて言った?


「ミウ…」

「はい…振られるのはわかってる。だって良弥彼女さんが…」


「いねえぞ?」



「ふぇ?」


ミウは真っ赤な顔をキョトンとさせた。

いや…可愛いけど。


「いや、俺彼女…いねえぞ?

なんか大切な人がいた気はするけど…なんでかな、忘れちゃったって感じ。



今は好きな人なんていない」




そう。


心の穴も、最近じゃ大分埋まって来た気がするんだよ。




「……俺、ミウと会って変わったかも」


本音だよ?

嘘偽りない、本当の言葉。


ミウは疑い深いところあるから…信じてくれないかもだけど。



「俺……ミウのこと、好きだったんだな……」


今、気づいた。


心の穴を埋めてくれたのは、ミウだった。

ぽっかり空いた穴にズケズケと天然で入って来て、可愛い仕草をして見せるミウ。


今、おれがふれるわけない。

フったら一生後悔するし、穴は一生埋まることなんてないだろう。


「……返事、してあげる。

……いいよ」


そういうとミウはまた泣きながら笑った。



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