氷と魔女《specialstory 完結》
「私は貴方を信じてるわ」

その言葉を言われた時、青年は彼女と抱き合う。

そして見てしまった。

背中越しに彼女を狙う、弓を構えた父親の姿を……!


「危ない!」


青年は体を回転させ、身代わりとなる。

変わり果てた姿に女神は泣いた。

それはそれは、泣いた。

女神は十分泣いた後…

美しい自分の翼を、根元からプッツリ切った。

耐え切れない痛み。
女神の象徴をとってしまった心の痛み。

ただ、彼女の羽には、秘密があった。


どんな傷でも、たとえ死んでいても…
女神の羽に真実の愛を誓う事で、相手の命が蘇る。

代償は…

その女神。


彼女は羽の1つに愛を誓った。
その羽を彼の胸の上に置くと…

彼は死んでもなお、彼女の事を愛していた心があったから
愛を誓えた。

青年が目を覚ました時には…

彼女は、女神は死んでいた。

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