氷と魔女《specialstory 完結》
「何よ。

別に良いのよ?今すぐここであなたの気を失わせても」



私は、吟を思いっきり睨む。



けど、私の手を離さなかった。



「別にいいよ。

お前がこの魔道書を壊すような事はしないと思うけどな」


くっ…!


「ふんっ」

私は勢いに任せて吟の手から解放させる。



「なあ。

俺ら、お前になんかしたかよ。

お前……まるで俺らと、わざと馴れ合わないようにしてんじゃん。

それに…

俺を見たその目も、まるで憎い相手を見るような目だ」



吟は真剣な顔をして私に問う。


「別に。
そんなことを言う義理もないし。
まず第一、私とあなたは会ったことない」


私も吟を見据えて言う。


「ふーん…
じゃあ、お前、政府に因縁でもあんのか?」


「なっ‼︎」


私は急いで口を両手で覆う。

しまった。つい反射的に口が…



「やっぱりな。

俺がお前に政府の娘か聞いた時とか、俺らが親の職業言った時…
お前は俺らを警戒するように聞いてた。
そして、その目には決意の現れでもあった。

まるで

『こいつらとは絶対関わらない』

とでも言うように、な」

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