氷と魔女《specialstory 完結》
な、なにこいつ…

人間観察度がハンパない。


色々見透かされるのは、嫌なんだけど。



私が睨むのをやめ、いつも通りの無表情に戻ると、吟はまた笑った。


「確かに政府は好かねえ、って奴はいる。
でも今の大臣も結構好かれてるし…

どこがやなのか、それとも因縁なのか知らねえけどさ。

俺らに当たるなよ。頼れっつうか、さ」


私は驚いて吟の顔を見る。


だって…だって……


「あんた、絶対私のこと嫌いだと思ってた……」


思わず口に出してしまった言葉は、引っ込んでくれない。


けど吟は、さらに笑うだけ。


「…なにがおかしいの?」

「だってよ…

ま、俺も最初はお前のことはっきり言って嫌いだったな。
まるで俺のことを毛嫌いしたみたい…てゆうかしてたし。

けど、もう1回考えてみたんだよ。
そしたら俺の勝手な嫌いってゆう思考も、アホらしいと思ってさ」


吟はそう言うと、私の目の前に手を差し出した。

「まあ、よろしくってことよ」


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