すれちがい
第3章 大地
中三の春、俺はこの世に女神がいると思った。
あの子の周りだけ、いつもキラキラしてて世界が違う。
友達と笑っている時にちらっと見せる歯も、授業中、ふせ目がちに教科書を見るまつ毛も、何もかもキラキラしている。
俺はあの子と話がしたくて話がしたくて、いつも見ていた。
見ているとわかるもんなんだ。あの子がだれを思っているのか。
あの子はいつも健一を見ないようにしている。それがかえって、健一とあの子との間に、なにか特別なものがあるんだなと思わせた。
噂では健一は中一の時あの子をふったらしい。
あの子をふった?そんな男がこの世に存在すること自体が腹立たしい。でも、あの子は健気にもまだ健一のことをあきらめきれずにいる。
俺は思い切って健一に聞いてみた。
「なあ、お前、優里のこと、どう思ってんの?」
「どうって別に……」
健一はあの子のことを、何とも思っていないらしい。ちょっと安心した。
席替え、俺の前があの子、俺の横が健一になった。
消しゴムを落とした俺は、健一に拾って貰おうと横を見ると、健一の視線の先にあの子がいた。
あの子は細い指で消しゴムをもてあそんでいた。そのキラキラな指先が健一の魔の視線で汚されている気分だった。
「今、告白されたら考えるのにな」
その健一の一言は、俺の怒りを沸騰させた。
あの子の周りだけ、いつもキラキラしてて世界が違う。
友達と笑っている時にちらっと見せる歯も、授業中、ふせ目がちに教科書を見るまつ毛も、何もかもキラキラしている。
俺はあの子と話がしたくて話がしたくて、いつも見ていた。
見ているとわかるもんなんだ。あの子がだれを思っているのか。
あの子はいつも健一を見ないようにしている。それがかえって、健一とあの子との間に、なにか特別なものがあるんだなと思わせた。
噂では健一は中一の時あの子をふったらしい。
あの子をふった?そんな男がこの世に存在すること自体が腹立たしい。でも、あの子は健気にもまだ健一のことをあきらめきれずにいる。
俺は思い切って健一に聞いてみた。
「なあ、お前、優里のこと、どう思ってんの?」
「どうって別に……」
健一はあの子のことを、何とも思っていないらしい。ちょっと安心した。
席替え、俺の前があの子、俺の横が健一になった。
消しゴムを落とした俺は、健一に拾って貰おうと横を見ると、健一の視線の先にあの子がいた。
あの子は細い指で消しゴムをもてあそんでいた。そのキラキラな指先が健一の魔の視線で汚されている気分だった。
「今、告白されたら考えるのにな」
その健一の一言は、俺の怒りを沸騰させた。