空とマンホール

芸術は選択なので、あたしは美術ではなくて書道をとっている。これでどうして美術部に入ろうと思ったのかが不思議。

哲の家に居る時間を短くしようと、部活を始めたいと思った。フェードアウトするように出られれば良いと考えたけれど、現実は巧くいかないことばかり。

「先生ー、女子帰りましたよ」

準備室の方へ声をかけると静かにその扉が開いた。窺うように先輩を見た先生が顔を出す。

あ、確かに格好いい。

顔だけというか、全体的に整っている。高い背も白衣も髪型もバランスが良い。

「あ、もしかして熱心な部員一号?」



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