空とマンホール

だから先生もこっちで作業するのかな、と少し考えた。一人で黙々と絵を描いているのは、疲れる気がする。

下校時間になってあたし達は美術室を出た。

「桜、綺麗に散ったな」

「今年は早かったですね」

「確かに。いつも描こうかなって思ったときに花びら無いから困る」

その言葉に笑う。同じように笑い声が近くから聞こえて見ると、バスケ部の集まりのようだった。

目ざとく、哲とさっきの女子を見つけた。二人ともバスケ部なんだ。

先輩とは駅が反対なので、門を出たらすぐに別れる。

「じゃあね、気をつけて」

明日も来てくれると嬉しい、と冗談のように付け加えて先輩は行ってしまう。


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