空とマンホール
「南雲に言ってきた」
結がこちらを見る気配がした。
昼休みの終わる時のチャイムが鳴る。
「お前傷つけたら許さないって」
言ってから、恥ずかしさがこみ上げてくる。
あーどこで道を踏み間違えた、俺。
やっぱり今のなし、と無くなるわけもないのに言おうとそちらを見れば、はにかむ顔。
あ、可愛い。
とか思ってしまう辺り、俺は生粋のお子様で馬鹿なのだと思う。
「嬉しい。ありがとう、あ、だからかな」
「何が?」
「さっき悲しそうな顔してた。傷付けたって思って傷付いたんだろうね」
女は怖い。