空とマンホール
半ば振り切るように出て行った。
それに、その場にいた哲も「そんなの聞いてない」と怒った顔をしていたから。
喜んで良いのか悪いのか分からなくなって、その気持ちは心のずっと奥にそっとしまった。
チャイムの音に我に返る。
あ、部活に行かなくちゃ。
鞄を持って空き教室を出た。哲はバスケ部に入ると言っていたけれどどうなんだろう。
あたしがこの学校を選んだのは、同じ中学出身が一人も居ないから。
だから、哲が同じ高校に進むと知ったとき、本当に驚いた。
それこそ、「そんなの聞いてない」だ。