空とマンホール
部室に入ると、大勢の女子と入れ違いになった。何があったのかと中を覗くと、副部長が疲れた顔をしていた。
「こんにちは」
「こんにちは。あ、砂藤さん」
先輩が一人であの女子を相手していたのだろうか、と教室内を見回す。
「さっきまで先生がいたから」
「ああそういう、」
ことでしたか。
先輩が開いたスケッチブックによって、その言葉は発せられなかった。
そこには沢山の種類の鳥。図鑑を見て描いたのか、殆ど目線が同じ。
「すごい、」
「どうもありがとう」
先輩のその言葉には嫌みがない。