空とマンホール

この人はそういう声の出し方をする。あっさりと淡白で、どこか突き放していて、でも距離をとった所にいてくれる。

哲とどこか似ている気がした。

尤も、哲はあたしのことが嫌いで距離をおいているのだけれど。

「砂藤さんは先生に興味ないの?」

「あんまり、というかちゃんと見たことが無いです」

先輩の後ろの席の椅子に座る。背中合わせに聞かれたことに答えた。

美術部の顧問の先生は、若くて格好いいという噂。副担任すらやっていないので、生徒がお目にかかれるのは美術の授業か、全校集会のときくらい。


< 9 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop