空とマンホール
この人はそういう声の出し方をする。あっさりと淡白で、どこか突き放していて、でも距離をとった所にいてくれる。
哲とどこか似ている気がした。
尤も、哲はあたしのことが嫌いで距離をおいているのだけれど。
「砂藤さんは先生に興味ないの?」
「あんまり、というかちゃんと見たことが無いです」
先輩の後ろの席の椅子に座る。背中合わせに聞かれたことに答えた。
美術部の顧問の先生は、若くて格好いいという噂。副担任すらやっていないので、生徒がお目にかかれるのは美術の授業か、全校集会のときくらい。