忘れた
第一章

暗闇の中で

「おいーッ! てめぇふざけんなよッ」


「悪りぃ、飲みすぎた…おえェ」


大勢の笑い声と健斗(けんと)の叫び声、ドタドタ走り回る振動を感じながら、あたしはベットに横になっていた。


イヤホンから流れる音楽は、隣の部屋からの騒音に完全に負けている。


うるさくてたまらない。


健斗はあたしの1つ下の弟で、現在高校1年生。


社交的な性格のおかげか、高校に入学すると、あっという間に友達ができた。それも大量に。


こうして、毎日のように彼らを家に呼んでは騒ぎ、両親が共働きで遅くにしか帰ってこないのをいいことに、お酒を飲んだりタバコを吸ってみたり、とにかくやりたい放題だ。


「俺は青春を謳歌している」


これが健斗の口癖だった。

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