忘れた
それからあたしたちは、お喋りしながら運動場に椅子を運んだ。


開会式、準備運動、綱引き、障害物競走、とプログラムは進んでゆく。


次は男子の騎馬戦だ。


「若山せんぱーいッ! 頑張ってーッ」


麗が大声で叫ぶ。


すると騎馬に乗った若山先輩と思われる人が、笑顔でこちらに手を振った。


里美も舞花も、彼氏に向かって応援の言葉を叫んでいた。


「青春だねえ」


梨沙がボソッと呟いた。


「本当だねえ」


あたしも呟くと、梨沙はムスッとして言った。


「あんたは彼氏がいるじゃない。あーあ、フリーなのはあたしだけか」


ため息をつく梨沙。


梨沙がその気になれば、彼氏なんてすぐに出来そうなのにな。


今は陸上のことで頭がいっぱいらしい。

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