忘れた

まずは予選から。梨沙を含めた女子6人が、スタート位置に並ぶ。


梨沙は第1走者なのだ。


『位置に着いて、ヨーイ…』


パァンッ


一斉に走り出した。


さすが陸上部。梨沙はぶっちぎりでトップを独走したまま、次の人にバトンタッチした。


ところが、梨沙の貯めた貯金はすぐに使い果たされた。


どんどん遅れをとるうちのクラスは、最下位のままアンカーになった。


アンカーは、あの早水だ。


あいつが速いわけがない。そう思っていると…


うっそ。めちゃくちゃ速いじゃん。


早水は風のように走っていた。グングン順位を上げていき、ついにはトップも抜いてゴールした。


「やったあッ」


あたしたちは抱き合ったり、飛び上がったりして喜んだ。


この時点で、本選への出場が決定した。