忘れた
続いて本選。


予選同様、梨沙の独走から、だんだん順位を落とし、最後にアンカーの早水にバトンが渡る。


「行けーッ! 早水ッ」


途中までは良かった。1人、2人と抜いていき、このままトップを狙えるか、というところでまでいった。


そして早水は、勢いよく地面に体を打ち付けた。


彼の周りに、砂ぼこりが舞う。


すぐに早水は起き上がった。


足を引きずりながら、必死でゴールを目指す。


その間に、どんどん抜かされてしまう。


結局、うちのクラスは最下位となった。





閉会式が終わり、解散になった。


あたしは1人でサッサと教室を出て行った早水を追いかけて、一緒に帰ろうと誘った。


「最悪だ、俺」


早水は落ち込んでいた。


「俺いつも本番に弱いんだよな。あんな大事なところでコケるなんてさ」


「早水は、悪くない。わざとコケたわけじゃないんだから。早水は悪くないよ?」

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