忘れた
プルルルル…


「あーッ、里美ーッ、何てことを」


慌てるあたしの手に、里美は携帯を押し付けた。


「覚悟を決めなさい」


そんな…


仕方なく、携帯を耳に当てる。


しばらく続くコール音。


そして


『もしもし』


1週間ぶりに聞く、勇介の声。少しそっけないけど、愛しくてつい笑みがこぼれる。


「勇介、久しぶり。あのね、この前のこと…」


『ごめん』


するといきなり謝られた。


『この前、俺、大人気なかった。

奈緒が心配してくれてるっていうの、分かってたのに、あんな追い詰めるようなこと言って悪かった。

勝手に怒って帰ったりして、ごめん。

でも、奈緒に会いたい。仕事の疲れとか、本当にどうでもいいんだ。

今だって、奈緒に会いたくてたまんねえよ』


「勇介…」


『奈緒からの電話、待ってた。今はたまたま休憩中だったから出られてよかったよ』

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