忘れた
久しぶりの、勇介の部屋。


相変わらず汚い玄関、廊下、キッチンダイニングを抜けて、洋室へ。


勇介がお茶を持ってきてくれて、ソファの前の小さなガラステーブルにのせた。


どすっ、とソファに腰掛ける勇介。


「座りなよ」


立ったままのあたしに、勇介が声をかけた。


ドキドキしながら、あたしは勇介の隣に座った。


「久しぶりだな」


「久しぶりだね」


「元気にしてたか?」


「うん。元気元気」


という余所余所しい会話から始まり、


「もう、勇介って本当バカだね」


「お前なあ、もうちょっと年上を敬えよ?

奈緒が生まれた時、俺小4だぞ? 奈緒が小1のとき、俺中3だぞ?」


「そういう発言がバカっぽい」


「コノヤロウッ」


という具合に、すぐ打ち解けたあたしたち。今までケンカしていたのが嘘のようだ。

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