忘れた
突然勇介が唇を離した。


ガバッと体を起こし、クルクルの頭をかきむしる。勇介は息が上がっていた。


「危ねえっ」


勇介が言った意味が分からず、あたしは仰向けのまま首をかしげる。


「これ以上は無理…俺がもたない…」


「もたないって、どういうこと?」


不安になって尋ねると、勇介が小さな声で呟いた。


「奈緒を襲っちまう」


「え? あたしはそのつもりだったけど…」


あたしが言うと、勇介はビックリした顔でこっちを見た。


「…いいの?」


あたしはコクリと頷く。


「勇介なら、怖くないよ」


勇介はフッと笑顔になって、あたしを抱きしめた。そして唇に軽くキスを落とすと、立ち上がった。


「シャワー浴びてくる」


その言い方が何だか大人っぽくて、あたしは急に緊張してきた。


この後、勇介と…


想像しただけで鼻血が出そう。

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