忘れた
俺は、姉ちゃんと結構仲が良かったんだ。


もし、彼女に振られたばっかじゃなかったら、無視なんてしなかった。


なんて、今更言っても遅いんだけど。


それから、記者に追っかけられたり家にテレビの取材が押しかけたりで、俺たち家族は苦しめられた。


女子大生が自殺、なんて珍しかったんだろうな。


学校でも、俺は注目の的になった。


誰かが、自殺した女子大生は俺の姉だって言いふらしたらしかった。


仲の良かった奴らは、最初は同情してくれたよ。


でも、俺は抜け殻みたいになっちゃってて、みんなだんだん離れて行ったんだ。


そのとき俺は、既に推薦で大学が決まってた。不幸中の幸いってやつ。


ボーッと毎日を過ごしているうちに、俺は高校を卒業してた。


大学に行っても、勉強に身が入らなくて、何にもする気がしなくて。


そのうち、大学を休むようになった。

< 136 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop