忘れた
10分後、勇介はあたしの部屋にいた。


「今日は30分しかいられないけど、奈緒に会いに来るって約束したもんな」


部屋に入るなり、勇介はそう言ってあたしをぎゅっと抱きしめた。


「ああ、すげえ落ち着く」


勇介があたしの耳元でささやく。


逞しい体。


息遣い。


あたしの髪を撫でる、大きな手。


勇介の全部が愛しく感じる。


これが愛、なんだね。


「勇介…愛してる」


「俺も、愛してるよ。奈緒」


愛されてるんだ、あたし。


そう思うと、嬉しくてニヤニヤしちゃう。


それからあたしたちは、2人でベッドに腰掛けて、今日の出来事なんかを報告し合った。


昨日会ったばっかりなのに、ポンポン話題が出てくる。


あたしたち、相性がいいのかもね。


楽しい時間は、あっという間に過ぎた。


行ってしまう前に、勇介はあたしに熱いキスをくれた。


「また明日な」


そう言って勇介は帰って行った。

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