忘れた
「ダンスなんて、本当めんど…」


バシッ


突然、背中に痺れるような痛みが走る。


誰かに叩かれたようだ。


こんなことをするのは、あいつしかいない。


あたしは思いっきりしかめっ面をして、後ろを振り返った。


案の定、そこにいたのは早水だった。


憎たらしいことに、あっかんべー、の顔だ。


もう、あったまきた。


「ちょっと早水ッ、あたしにも一発叩かせろ」


すると早水は自転車にまたがって、追いかけるあたしからスルリと逃げてしまう。


「自転車ズルいッ」


あたしの叫びも虚しく、早水はそのまま校門へ消えて行った。


そんな様子を見て、里美が一言。


「あいつ、絶対奈緒に気があるわ」

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