忘れた
洋子さんに電話をかける。


「もしもし、洋子さん?」


『あ、奈緒ちゃん。あのね、勇介がね』


落ち着いて話す洋子さん。あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


『目を覚ましたの』


「本当ですかッ! す、すぐ行きます」


一方的に電話を切って、あたしはみんなに報告した。


「よかったじゃんッ」


「すぐ行きなよ。先生には、あたしたちから言っとくから」


みんな、優しいなあ…


「ごめんね、お願い」


あたしは弁当を持って、急いで自分のクラスへカバンを取りに行った。


電車に乗っている間も、ドキドキが止まらなかった。


久しぶりに会えるんだよね。


何話そうかな。


勇介のくしゃっとした笑顔に、もうすぐ会える。


そう思うと、勝手に笑みがこぼれた。

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