忘れた
「へえ…それ、取って」


俺は母さんから携帯電話を受け取り、色々な角度から眺め回した。


1つしかないボタンを押してみると、画面いっぱいに、俺と、さっきの奈緒とのツーショット写真が表示された。


「え…これ、何で?」


画面の中の2人は、とても楽しそうに笑っていた。


母さんが俺の携帯の画面を覗き込んで、あらあら、と言って微笑んだ。


「母さん…奈緒のこと、何か知ってるのか?」


俺が訊くと、母さんは悲しげな顔をした。


「私から言っても仕方がないわ」


そして母さんは、携帯電話の使い方を丁寧に教えてくれた。


この携帯電話はiPhoneというやつで、ボタンが1つしかない。


説明を聞いていると、こんな小さな物体に様々な機能があるらしく、俺は驚いた。


昨日まで固定電話しかなかったのに、急にこんなハイテクな機械が登場するなんて…

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