忘れた
それにしても…姉ちゃんが死んだなんて。


何で…


何でだよ、姉ちゃん。


自分から死を選ぶなんて、姉ちゃんらしくねえじゃん。


気が強くて、自分の言いたいことはハッキリ言う。みんなをまとめるリーダーだった。


そんな姉ちゃんに、俺は憧れてたんだぞ?


自殺した理由、母さんに聞きそびれちゃったな。


奈緒…


俺は、奈緒に姉ちゃんの姿を重ねていたんだろうか。


頭が混乱してる。


何もかも、信じられない。


ただ、確かなことが1つだけある。


俺は、高校3年生じゃない。


青春時代は、もう終わってしまっていた。





俺は、しばらくの間入院することになった。


幸い後遺症も無く、見た目ほど怪我は酷くないとのことだ。


ただ、俺は事故の記憶どころか、ここ数年の記憶がすっぽり抜けてしまっている。


頭を強く打ったせいだと、医者は言う。

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