忘れた

文化祭前夜

『俺たちって、もしかして、付き合ってるの?』


『えっ…』


『携帯電話のロック画面に、俺たちの写真が表示されたんだけど…』


『つ、付き合ってないよ、もう。ま、前付き合ってて、もう分かれたの』


何度も何度も、頭の中でリピートされる会話。


これは、土曜日に勇介のお見舞いに行ったときの会話だ。


後悔しても、もう遅い。


勇介の中のあたしは、元カノになっちゃったんだ。


だって、あのときの勇介の顔。


すごく困っているように見えたんだもん。


あたしは盛大にため息をついた。


すると、すかさず丸山さんに注意される。


「東さーん、集中してね。文化祭は明日なんだから」


そう、明日は文化祭。


今は体育館のステージで、ダンスの最終確認を行っているところだ。


「ごめんね、丸山さん」


あたしはすぐに謝った。となりの梨沙にも、もう何やってんの、と叱られてしまった。


まずい。集中しないと。

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