忘れた
「よく分かんねえけど、急いでるんだろ? 走ってる東が見えたから」
自転車のペダルを漕ぎながら、早水は言う。
勇介より、少し低い背中。
勇介より、クルクルしてない髪の毛。
勇介より、細い体。
あたしは早水に触れないように、必死でバランスを取っていた。
だってあたし、早水の彼女じゃないから。
早水のおかげで、あっという間に駅に着いた。
「ありがとう、早水。 この貸しは今度返すから」
あたしがそう言うと、早水はニカッと笑って言った。
「覚えとくよッ」
*
病院に着いたのは、夜の7時半。辺りは真っ暗だ。
あと30分で、面会時間が終わってしまう。
あたしは急いで勇介の病室に向かった。
コンコン、とドアをノックする。どうぞ、と愛しい人の声がした。
あたしは少し緊張しながら中に入った。
自転車のペダルを漕ぎながら、早水は言う。
勇介より、少し低い背中。
勇介より、クルクルしてない髪の毛。
勇介より、細い体。
あたしは早水に触れないように、必死でバランスを取っていた。
だってあたし、早水の彼女じゃないから。
早水のおかげで、あっという間に駅に着いた。
「ありがとう、早水。 この貸しは今度返すから」
あたしがそう言うと、早水はニカッと笑って言った。
「覚えとくよッ」
*
病院に着いたのは、夜の7時半。辺りは真っ暗だ。
あと30分で、面会時間が終わってしまう。
あたしは急いで勇介の病室に向かった。
コンコン、とドアをノックする。どうぞ、と愛しい人の声がした。
あたしは少し緊張しながら中に入った。