忘れた
あたしの部屋で勇介とお喋りしてたときも、沈黙はあったけど。


そういうときって、あたしたち、キスしてた。


甘い雰囲気になって、勇介と体をくっつけたりしたんだっけ。


もう1度、抱きしめて欲しいな。


なんてことを頭の片隅で考えながら喋っていた。


気づけば、文化祭の話から、文化委員の丸山さんの彼氏の大学がめちゃくちゃ遠くにある、なんて話に脱線していた。


こんな話つまんないかな? と思ったけど、意外にも勇介はケラケラ笑っていた。


あまりにも勇介が笑うので、あたしは話の途中で訊いてみた。


「そんなに面白いかな」


すると勇介は、


「話が面白いっつーより、奈緒の喋り方とか、コロコロ話が変わるとこが面白えなあって思ってさ」


と言ってまた笑った。


そうかな。勇介が笑ってくれるなら、何でもいいや。


30分の面会時間は、丸山さんの話で終わりそうだ。

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