忘れた



文化祭、当日。


うちの学校は、文化祭は1日だけ。


勇介のことは考えないようにして、思いっきり楽しもう。


早めに来たつもりだったのだが、教室には女子がもうたくさん来ていた。


みんな、髪を巻いたりメイクをしたりと、大忙しだ。


「奈緒、こっちこっち」


舞花に呼ばれて、席に向かう。


いつもの4人はみんな来ていて、文化祭Tシャツに何やら落書きしているところだった。


黄地に、背中には緑で“24”と書かれた、全校生徒おそろいの文化祭Tシャツ。


ペンキで殴り書きされたようなデザインが、シンプルだけどなかなかかっこいい。


24時間楽しもう、という意味が込められている。


「奈緒、Tシャツ持ってきたよね?」


と、メイクと巻き髪でいつもより格段に可愛らしくなった麗が言った。


「もちろん」


あたしはカバンからTシャツを取り出した。

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