忘れた
最高!


右手を振り上げながら無我夢中で音楽に乗っていると、下げていた左手を誰かに握られたような感触がした。


左にいるのって…


見るとやっぱり早水だった。


でも、そのときのあたしは楽しくて仕方なかったから、深く考えずにその手を握り返したんだ。


爆音で頭がおかしくなっていたのかな。


次のバンドになっても、あたしたちは手を繋いだまま飛び跳ねていた。


バンドの区切りがついたところで、あたしたちはそのまま、一緒に体育館を出ることにした。


体育館を出たところで、手を繋ぎっぱなしだったことに気づくあたし。


ハッとして手を離そうとするけど、早水が離してくれない。


ブンブン腕を振ってみるけど離れない。


「もー、何なのよ」


あたしがそう言うと、早水はニヤニヤしながら言った。


「いいじゃん、別に」


はあー?

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