忘れた
「で、今まで早水と一緒だったんだ?」


舞花の問いに、あたしはコクリと頷いた。


「で、キスとかされたんだ」


しれっと梨沙が言った。


「え、何で知ってるの? もしかして、見てた?」


あたしが焦ると、みんなは驚いた目であたしを見た。


「や、冗談で言ったんだけど…

何? まじでキスされたの?」


あたしは自分で墓穴を掘ってしまい、詳しく話す羽目になった。


「へえー、早水の奴、ついに告白したんだ」


と舞花。


「返事はどうするの?」


と麗。


「でも…あたしが好きなのは、勇介だよ」


「そうだよねー。可哀想に、早水。

でもいきなりキスはないわ」


と里美。


「あたし…早水のキス、受け入れちゃったの。好きじゃないのに。

何でかな」


「それは好きなんじゃないの?

奈緒、勇介さんとはもう別れたって言っちゃったんでしょ?

そしたら、もう早水と付き合ってもいいんじゃないかな。

勇介さんのことは忘れて、さ」


舞花の言うことは、最もだった。

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