忘れた
ダンス練習から帰るときも真っ暗だったけど、街灯とかである程度明るかった。


今は、本当に真っ暗…


怖い。


オロオロしていると、早水と背中がぶつかってしまった。


あたしはとっさに早水の背中にしがみついた。


「東…?」


震えるあたしに、早水は戸惑った声を出した。


「暗いところ、苦手なのか?」


「う、うん」


すると早水は体を回転させて…


あたしの体は、温もりに包まれた。


「とりあえず、座ろ?」


早水に抱きしめられたまま、あたしたちは座り込んだ。


早水の背中に腕を回す。


こうしていると、少し安心した。


あたしは早水の胸に顔を埋めた。


早水の鼓動、すごく速いよ。


そんでもって、温かい…


あたしは抱きしめられた温もりが心地よくて、気分がすっかり落ち着いた。


何だか…眠い。


早水は壁に寄りかかっているのだろう。あたしが早水にもたれても、早水の体は安定しているように思えた。


あたしは早水にもたれかかって、目を閉じた。

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