忘れた
どのくらい、時間が経ったのだろうか。


肩を揺すられて、あたしはゆっくり目を開けた。


ここはどこ?


あたしの目の前にいるのは、誰だ?


「東、起きろ」


この声は…早水だ。


ここは焼肉屋のエレベーター。


あたしは眠り込んでしまっていたらしい。


エレベーターの電気が復活していて、ドアが開いていた。


1階だ。


意識がはっきりするのと同時に、あたしは急激にトイレに行きたくなった。


もともとトイレに行きたかったんだった。


あたしはダッシュでエレベーターを降りて、トイレへ駆け込んだ。


よかった。間に合った。


スッキリしたあたしは、再びエレベーターに戻った。


まだエレベーターの前には、早水がいた。腕を組んで、ドアにもたれかかっている。

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