忘れた
はじめさんとシバさんは見覚えがある。


でも、あっくんという人は初対面だった。


金髪で、シュッとした顔をしている。


にしても。背、高いなぁ。


あまりにジロジロ見ていたせいか、彼と、バチッ、と目が合ってしまった。


慌てて視線をそらす。


「あれー? 奈緒ちゃん目赤いけど、どしたん?」


ふいに、開さんがあたしを覗き込む。


「え、そ、そんなこと…」


「奈緒ったら、開さんの歌声に感極まっちゃったみたいで。

もー泣きっぱなしでしたよ」


梨沙が余計なことを言ってしまった。


「え、まじで? 俺、泣かせてしまったかぁ。いやー、それは悪いことしたなぁ」


そういうわりには嬉しそうな開さん。


「これからさ、あっくんの家で打ち上げやるんだけど、奈緒ちゃんたちも来ない?」


あたしが返事をするより前に、梨沙が口を開いた。


「行きまーすッ、ね?奈緒」


ね、って…


あたしは頷くしかなかった。

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