忘れた
バンッ


勇介は乱暴にドアを開けた。


6畳の室内は、むさ苦しい男たちでいっぱいだった。


男たちは喋るのを止め、不思議そうな目であたしたちを見上げていた。ただ1人、健斗を除いては。


「おいッ、勝手に…」


しかし健斗が言い終える前に、勇介の怒声が響いた。


「近所迷惑だろうがッ」


あたしの手を握る、勇介の手に力が入る。近所迷惑…正論だった。


「は? おっさん誰? 人んち勝手に上がり込んで、いきなり何言ってんの?」


おっさん、だと?


あたしは健斗と血が繋がっていることを心底悲しく思った。


健斗は音楽を止めて立ち上がり、勇介に近づいた。残念なことに、健斗はあたしよりも背が低い。


目の前まで来ると勇介との身長差がハッキリと分かって、睨みつける目に迫力がなかった。

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