忘れた
「なーにが、青春を謳歌、だ。野郎ばっかで偉そうに」


途端、健斗の顔が真っ赤に染まる。



「青春を謳歌っていうのはな、こういうことを言うんだよ」


そう言って勇介は、あたしの肩を抱き寄せる。


次の瞬間、右頬に触れる温かくて柔らかい何か。


その温もりは一瞬で消えた。


戸惑う隙も与えず、勇介はあたしの頬にキスをしたのだ。


あたしは驚いて、勇介を見上げた。しかし勇介は動じることなく話を続ける。


「どうせお前ら彼女いないんだろ? 夢も希望もないんだろ? ただ、暇で暇で仕方ないんだろ?

だからこうやって野郎ばっかでたまってんだろ?」


勇介はチラッと、散乱するビールの缶とタバコの吸い殻に目をやった。


「やるなって言われるとやりたくなるんだろ? 縛られてる感じが嫌なんだろ?

分かるよー、その気持ち」

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