忘れた
健斗は黙っている。


「すごく分かる。よーく分かる」


勇介は1人で頷いた。


「俺も昔はそうだった。でもな、酒もタバコも大人になればいくらでも出来るんだよ。別に今じゃなくてもいいんだよ。

こんな狭い部屋にギュウギュウになってやることじゃねえよ。

今しか出来ないこと、他にいっぱいあるだろ」


「確かに…」


健斗は小さな声で言った。


勇介の力説は、健斗だけでなく部屋にいる男たちにも響いたようだった。


そうだそうだ、と賛同の声が上がる。


「よしっ、お前ら!今から外に出てナンパでもなんでもしてこいッ

青春はこれからだッ」


オオーッと、雄叫びを上げて部屋を飛び出して行く男たち。


その様子に、ただただ驚くあたし。男の子って、単純…

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