忘れた
*
時刻は夜の10時。
健斗はさっき帰ってきて、あたしにこう言った。
「ナンパなんて、2度としねえッ」
何があったのかは知らないが、いつも偉そうな健斗がシュンと落ち込んでいる様子は、実に愉快だった。
健斗のあの顔。思い出しただけで、笑えてきちゃう。
1人、部屋でニヤニヤしているあたし。
傍から見たら、気持ち悪いだろうな、なんて思っていると、聞きなれない電子音が鳴った。
それがケータイの着信音だと気づくのに数秒かかってしまった。なんせ、あたしのケータイに電話なんて滅多にかかってこないから。
慌ててケータイを取り上げ、画面に写る名前を確認。
“松葉 勇介”
えっ、勇介? 一体何の用だろう。
あたしは急いで通話のマークをタップした。
時刻は夜の10時。
健斗はさっき帰ってきて、あたしにこう言った。
「ナンパなんて、2度としねえッ」
何があったのかは知らないが、いつも偉そうな健斗がシュンと落ち込んでいる様子は、実に愉快だった。
健斗のあの顔。思い出しただけで、笑えてきちゃう。
1人、部屋でニヤニヤしているあたし。
傍から見たら、気持ち悪いだろうな、なんて思っていると、聞きなれない電子音が鳴った。
それがケータイの着信音だと気づくのに数秒かかってしまった。なんせ、あたしのケータイに電話なんて滅多にかかってこないから。
慌ててケータイを取り上げ、画面に写る名前を確認。
“松葉 勇介”
えっ、勇介? 一体何の用だろう。
あたしは急いで通話のマークをタップした。