忘れた
「もしもし」


『もしもし、奈緒? 俺。勇介だけど、今大丈夫?』


「全然平気だよ。どうしたの?」


『ちょっと奈緒の声が聞きたくてさ』


普通、こういうこと言われたらドキッとするもんだよね。なのに、あたしは勇介に不信感を覚えてしまう。


「誰にでもそういうこと言うんでしょ、勇介って」


なんて。あたし、可愛くないな。


『違うって。そんな軽い男じゃないよ、俺』


何言ってんだか。


「はいはい。用件ないなら切っちゃうよ」


『待て待て、用件ならあるぞ。

明後日空いてる?』


思いっきり、空いてます。言うなら、明日も明後日もその次も空いてます。


この流れ、もしや…


「空いてるよ」


『じゃあ、俺と遊ぼ』


まじですか…?

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