忘れた
青の半袖Tシャツに、黒のサルエルパンツ。悩んだ末、こうなった。


下ろすと胸の辺りまである長い髪の毛は邪魔だから、後ろで1つに括ってポニーテールにした。


動きやすさ重視の、勇介に負けず劣らずのシンプルコーデだ。


「色気ないなー」


勇介の第一声が、これだ。


「いいんですー。だって、友達と遊ぶのに色気は必要ないでしょ?」


「…それもそうだな」


なぜか歯切れの悪い勇介。もしかして、友達だと思ってるのはあたしだけ?


そうだよね、知り合ったばっかだもん。


あたしは慌てて言った。


「ごめん、馴れ馴れしく友達なんて」


すると、勇介はくしゃっと笑った。


「いや、俺ら、もう友達だろ?」


友達。あたしと勇介は友達なんだ。勇介のその言葉は、飛び上がりたくなるほど嬉しかった。


「じゃあ、行きますか。乗って、奈緒」


「はーい」

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