忘れた

新学期




8月26日。いよいよ今日から新学期が始まる。


久しぶりにカッターシャツに袖を通す。あの時引きちぎられたボタンもちゃんと縫ったし、自信をもて、あたし。


あれから勇介は毎日のように電話やメールをくれて、あたしを笑わせてくれた。


あの日以来会ってないけど、元気にしてるかな?


よく考えると、あたしは勇介のことをほとんど知らない。何のアルバイトをしてるのかとか、なぜフリーターをしてるのかとか。


そういう話になると、勇介はいつもはぐらかすから、こっちから深くは聞かないようにしていた。


昨日の電話では、勇介は思いっきりあたしを励ましてくれた。


「大丈夫、奈緒ならきっといい友達が出来るよ」


勇介の言葉を胸に、あたしは学校へ向かう。

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