忘れた
「おはよーっ! 東さんが話しかけてくれるなんて、あたし、すっごい嬉しい!」


今度は驚くのはあたしの方だった。


「え? そ、そうなの?」


恐る恐る尋ねると、楠さんは大げさに何度も頷いた。


「だって東さん、すっごい美人なんだもん。あたし、ずっと仲良くなりたいと思ってたんだよ。

あたしのことは、舞花って呼んで。あたしも奈緒って呼ぶから」


あたしが美人…?


「全然美人じゃないよ、あたしなんか。あと、名前、覚えてくれててありがと」


あたしが言うと、舞花は呆れて言った。


「自覚ないんだねー。奈緒って結構有名人だよ? このクラスどころか、学校中から注目されてるんだよ?」


は? 意外な展開に、頭がついていかない。

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